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Wisdom Small Gathering002 “学びの過去現在未来” レポート

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イヴァン・イリイチという哲学者の著書『脱学校の社会』という本をご存知でしょうか?「いい大学、いい会社」という目的のために学校はあるのか、ということや、資格をとることが手段ではなく目的となっているような現代社会への疑問をこの本は「社会の学校化」という言葉で表現しています。

「学校」≠「学び」、「教育」≠「学び」:
しかし、あたかも=のように捉えられている社会があるように思います。イリイチは、これについて「価値の制度化」が原因であるということを説いています。さらに、本来もっと自由なものであったはずの学びは、『「学習のほとんどが教えられたことの結果だ」という考え方となってしまった。「本来、自律的・自発的・能動的におこなわれるはずの学びが、学校によって他律的・強制的・受動的にさせられる行為に添加していく」のである』、これを「学校化」と言い、読者へ再考を促しています。具体的な解決方法は明記されていないものの、現在ではインターネットの発達や価値観の多様化の許容度が高くなりつつある中で、「学校化」からの脱出への何らかの糸口が見えやすい時期といえるのではないでしょうか。

同じような文脈で、宮台真司氏・藤井誠二氏『学校的日常を生き抜け』では学校化についてこのように表現しています。
学校化とは
・空間的に言えば…家も地域社会も学校的なものの出店になるということ。
・時間的に言えば…学校的なものが、教室にいる時間だけでなく、全生活時間を覆うようになること。
・大人社会の側から言えば…学校的な機能をバックアップすることが、家や地域社会の機能だというふうに自己認識するようになると言い換えることも出来る。

今回のゲストの岩田さんは、この学校化される社会から学びを自立的なものに取り戻そうとしている若者。彼自身は明確に学校化についての話はされていませんが、根本にはそのような思想を持っているように感じました。クリエイティブでイノベイティブな力が発揮できるような学びが必要だ!と昨今声高に様々なメディアでは言われていますが、ではどのようにやるのか、ということについてはなかなか行動まで落とし込んで実行されている方はまだまだ数少ないように思います。Gatheringでは、その”HOW”についてお聞きすることができました。

はじまりの学校a.school 代表取締役 岩田拓磨さん

岩田さんは、「はじまりの学校a.school」を主宰されHOWを実践されています。これはご自身が大学院で学んだi.school(分野・領域の枠を越えて、横断的・統合的な視野を持つ。論理的な思考の先に、クリエイティビティを羽ばたかせ、いままでにない発想を産み出すことに主眼をおいたコース)に刺激を受けて、中高生からもそのような考え方ができたらよいのではないか、と考えたのがきっかけで「はじまりの学校a.school」を始められたそうです。

イントロダクションの後に、実際に中高生に対して行なっているワークショップを参加者とともに体験してみました。大人達がちょっといつもとは違った脳みそを使ってワイワイガヤガヤと、時には真剣に考えている状況はとても新鮮でした。

ワークショップの様子

”誰でもクリエイティブ/イノベイティブになれるポテンシャルを持っている”
岩田さんの活動から学んだことです。特に日本では、クリエイティブ/イノベイティブであることが特別視されていますが、一人一人が異なる人であり、そこから生み出される可能性は無限大にあるのだ、ということを大人は子ども達に伝えることが非常に大切なことではないでしょうか。

”自ら可能性を絞らないー専門云々に限らずやりたいことをやることは出来る”
岩田さんは、教育者として専門を学んで来た方ではありません。自分の世界にこもりがちだった幼少期の出来事や大学での学び、そして経営コンサルティング時代の経験等が総合的に活かされて現在の活動をされています。岩田さんは、1を2や3にする人だけでなく、何もない状態0から1を創れるような人を育てたいという思いでプログラムづくりをされていますが、まさに岩田さんの試みもそのような1を創る試みなのかもしれません。

今後も様々なHOWが出て来て、硬直化しているような学びの世界によい風を送れるような人や組織が出て来てほしいと願っています。また財団としてもそのような取り組みを前向きに発信していきたいと考えています。

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