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Event report

未来のロボットを考える(ゲスト:ロボットクリエイター高橋智隆氏)

EVENT

〜感情とロボット〜AIが社会基盤となるからこそ必要であろう叡智、 今残すべき叡智とは?

AIが私たちの社会に入り込んだ未来、そこでロボットはどんな活躍をしているのでしょうか? 私たちはしばしばAIを人格化し、人間のようなAIを期待してしまうのと同じように、私たちは人型ロボットの登場をずっと夢見てきました。今回は数々の人型ロボットを世に送り出してきたロボットクリエイターの高橋智隆さんをゲストにお招きし、ロボットと人間の違いは何か? 感情とは何か? ロボット開発の経緯をお聞きしながら、未来の人間と社会について考えました。

本イベントレポートでは「この会場でしか話せない刺激的な内容を、足を運んでくれたイベント参加者だけに伝えたい」という高橋さんのご意向により、当日お話しただいた内容の一部を事務局側で抜粋、編集してお送りいたします。

<ゲスト>

ロボットクリエイター 高橋智隆さん

1975年生まれ。2003年京都大学工学部卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を創業し京大学内入居ベンチャー第一号となる。代表作にロボット電話「ロボホン」、ロボット宇宙飛行士「キロボ」、デアゴスティーニ「週刊ロビ」、グランドキャニオン登頂「エボルタくん」など。ロボカップ世界大会5年連続優勝。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。開発したロボットによる3つのギネス世界記録を保持。(株)ロボ・ガレージ代表取締役、東京大学先端研特任准教授、大阪電気通信大学客員教授、グローブライド(株)社外取締役、ヒューマンアカデミーロボット教室顧問。

ロボットに期待しすぎないこと

私たちはアニメやマンガに出てくるような、お手伝いロボットや万能ロボットをつい想像しがちですが、高橋さんのお話では三つの理由からそれはかなり難しいだろう、とのことでした。

理由①:人間とロボットでは得意なものが真逆

モラベックのパラドックスが語るように、人間が本能レベルで無意識にやっていることが、ロボットにとって技術的に一番難しい。未来のロボットは食洗機や全自動洗濯機など、機能特化した様々なロボットたちが「お手伝いロボット」の役割をこなすだろうということです。

理由②:方法が違う

人間とロボットでは効率的な仕事のやり方が異なる。物流倉庫を人間が管理するときは商品を種類で分類し棚を作り整理整頓をしてしまうが、ロボットは入荷した商品をそのまま棚に並べていく方が商品点数の増減に対応しやすく効率的、なぜなら記憶力が人間よりも優れているから。アマゾンの倉庫は物流ロボットが動き回り、従来の倉庫とはまったく異なる風景を作っています。

理由③:ロボットに対する期待値が高過ぎる

ロボットにできることは限られているので、過剰な期待をするとガッカリしてしまう。人をガッカリさせないためには期待値を上げないことであり、一番分かりやすい方法はロボットを小さく作ること。等身大のロボットを作ると、人間並みの能力を期待してしまい、ガッカリ度が大きくなってしまう。
いま一番世の中で普及しているロボットは、お掃除ロボの「ルンバ(iRobot)」ですが、最初はオモチャとして売り出され、期待値を低く設定することで世の中に受け入れられました。

尖ったものを創り続ける

高橋さんはこれまで50種類もの人型ロボットを創り出してきましたが、驚くべきことに、図面を描き、部品を削り、プログラミングをし、組み立てるところまで、全ての作業を独りで行っています。

作業を人に任せると一時的に楽ができるが、そのプロセスの中で訪れる「気付きのチャンス」を失ってしまう。作業の中で発生する問題を解決しようとする中で新たな発明が生まれる、それは会社単位、国単位でも同じ。

そして、独りでやるからこそ尖ったものが創れる。みんなで相談して作ってしまうと凡庸なものになってしまう。大衆車を作るならそのやり方でよかったが、ロボットという新しい分野で凡庸なものを作ってもしょうがない。だから、敢えて独りでロボットを創り続けているそうです。

無難な選択をするな

人生は選択の連続ですが、高橋さんは「自分のことを他人のことのように見て選ぶ」ことを心がけてきたそうです。

迷ったらユニークな選択肢を選ぶこと。どうしても自分のことになると一番リスクが少なそうな、無難な選択をしてしまう。しかしその中から新しい価値は生まれにくい。そこで、自分のことを他人事のように選んでみる、一番リスキーで実は自分の中に興味があることを選ぶこと。そのような選択をすると、必ず苦労が、無難なものを選ぶ人よりも豊かなでユニーク経験ができ、その連続がイノベーティブな発想を生むのではないか。

だから、みなさんも携帯電話やスマートフォンを選ぶときはユニークなものを選びましょう。『ロボホン』というとてもユニークな電話がありますよ!

【ロボホン】ダンス6連発

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私たちは、そんな未来を創るために、
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