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西粟倉に集まる「おもしろい人」たち ① 〜蜂追いの「あつたや」熱田安武さん

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西粟倉森の学校の牧大介さん曰く「おもしろい人が増えると地域がおもしろくなる」。西粟倉村のビジョンに共感して集まってきた人々の中には、様々な才能と情熱を持った挑戦者たちがいました。その中からお二人をご紹介します。まずは一人目、「蜂追い」を生業にする野人、熱田安武さん。

<プロフィール>

熱田安武(あつた やすたけ)さん

蜂獲り師・罠猟師。生粋の野人。愛知県出身、高知大学院修士課程修了。幼少の頃より父の影響を受け、蜂獲りに狩猟、ウナギ漁に自然薯掘りといった野山をフィールドとして英才教育を受ける。現在は岡山県美作市の里山を拠点に、巡る季節のなか自然に真剣に遊んでもらうことを何よりの楽しみとしている。
・あつたや(http://atsutaya.com

蜂追いという仕事

蜂獲り師である僕は、蜂追いを生業としています。蜂追いというのは山村の伝統文化のひとつで、オオスズメバチという世界最大かつ最も強い毒を持つスズメバチの身体にリボンを結び、それを頼りに山の地中に潜む巣を探し出す、という技術です。見つけた巣を生け捕りにして、幼虫を料理店さんや個人のお客さんに出荷することを生業としています。

蜂追いをする季節は9月から10月末で、その時期は巣の在り処を探し出すために毎日山に入ります。クヌギ等の樹液が出た場所にはオオスズメバチが餌を求めて集まりやすいので、あらかじめ目星をつけておいたクヌギの場所へと向かい、オオスズメバチがいた場合は蜂蜜やバッタ等の餌を与えます。餌を抱えたハチは幼虫の待つ巣へ向かい、餌を巣に届けると必ずまた元の餌場に戻ってきます。遠いと2キロほど離れた場所から餌を探しに来ることもあります。

餌場から巣までを往復する蜂の姿を、身体に結んだリボンを頼りに探し出すというのがハチ追いです。リボンを結ぶといっても、飛行に影響の出るような大きさや形状ではすぐに見破られてリボンを切られてしまいます。そのため、ハチにとって違和感とならないようなものを、いつ結ばれたかハチが気づかないように結ぶという技術が必要となります。

(*写真:熱田屋HPより、http://atsutaya.com/about/hachi-oi

蜂の気持ちが分かってきた

リボンを結んだハチを頼りに巣まで追い掛けるので、山を駆けたり、木に登ったりという作業も必須となります。空飛ぶハチに対して僕は空を飛べないので、自身が培ってきた感覚と身体を駆使しての仕事です。そのうえで大事なのが、ハチの気持ちをどれだけ汲むことができるか。ハチがどう動くか、行動を予測できるレベルまで自身の感度を高めると狙い通りに巣を見つけることが多いです。

もともと生まれ故郷では盛んで、父という身近な存在が蜂追いをやっていたこともあり、四歳から蜂追いを始めました。もちろん最初は全ての工程をさせてはもらえなかったですが、いまの肌身の感覚はその頃から鍛えてもらったからに他ならないと思います。何より僕は、蜂追いほど楽しくて怖くて心を動かされる世界を他に知りません。

ウナギ獲りや山菜採り、自然薯掘りやマツタケ採り等、いろんな楽しい野遊びを教えてもらったにも関わらず、どうしても好きで好きでしょうがないのが蜂追いという世界です。幼少の頃から、ある意味狂ったかのようにハチを追い続けて、最近になってようやくハチの気持ちを汲めるようになってきました。言葉は通じないですが、表情と動きで察することができるようになって、よりオオスズメバチのことが愛おしく思えてきた今日この頃です。

そしてなにより、ハチの子はとてもおいしい。また、野性という厳しい生存競争の中でたくましく育った恵みには、僕らの身体をより健やかにする力を持っていると思います。食文化としては珍しいため敬遠されることも多いですが、そんな食材としてのハチの子の存在を求めて下さる方は少しずつ増えています。素材としての価値を落とさぬように手掛けたハチの子を、必要として下さる方のもとへとこれからも届けたい。そんな想いであつたやはハチを麻酔も薬剤も使わない手法で手に入れています。

(画像キャプション:蜂の子さなぎ(冷凍)-岡山産オオスズメバチ
http://shop.atsutaya.com/items/1710371

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