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クリエイティブ発想と言葉のデザイン (3/3)
MON-DO(もんどう)

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クリエイティブ発想と言葉のデザイン (2/3) 〜「アイデアのつくり方」をつくるからの続き

問)ちょっと堅い話になってしまいますが、いま安保法案でいろいろ揉めていて「戦争反対」という言葉は本当に伝わるのか。「反対」というのはポジティブなワードではないですが、それをどうやってポジティブに共感してもらって拡散できると思いますか? 特に日本では政治的な活動は敬遠されて、あまり拡散しないと思うのですが。

答)基本的に一意見として聞いていただきたいんですけど、「戦争反対です」って言ってる人たちのSNSの信頼度と依存度が大き過ぎるんじゃないかと思うんです。SNSでつぶやいてシェアして拡散するっていうことが、世界を変えていくためのひとつのきっかけにはなると思います。でも、確実におばちゃんやおばあちゃんとかは大衆として動いているので、「そんなこと言っても、お上の言ってる方が正しいでしょ」ってことになってる。

そこのマインドを変える必要がある。そこに到達するメディアが何なのか考えるか、そこのメディアをどうやって動かすかを考えた方がいいと思うんですよね。本当にベタな大衆っぽい人たちに影響力がある人たちが動いたら、コロッと行くんじゃないかってことは思います。

自分たちがシェアして集まってやるってことは凄く重要なことだからやるべきだし、そのパワーは世界中を変えてきたと思うんですけど、特に日本に関しては動かない層をどうやって動かすのか。そこっていまだにマスパワーなので、メディアをどう巻き込むのかっていう方向に行った方がいいと思うんです。

言葉を新しく作ったからといってて、それがいきなりドンっと拡散するかっていうと難しいと思います。本当は象徴的なイベントがあったら一発なんですけど。というのは、誰もが飲酒運転を最悪なものって思ったきっかけは、明らかに九州で4人の家族が飲酒運転によって亡くなった事件なのは間違いないんですよ。あんなにひどいことは絶対に起こしてはいけないという意思が、飲酒運転してる人に対して、ありえないっていう感情を集めたわけです。ですから、そういうエポックなところを引っ張り上げてちゃんと世の中に醸成するっていうのが一番早いのかもしれないです。そういう感情の動かし方が世の中を動かす一つの手になるとは思います。

実際にある程度の年齢で戦争を体験されて、体験して語れる人が今はもう80歳を超えてるんです。今年戦後70年ですけど、80年のときにはもうご存命じゃないかもしれない。そうなると、あえて言うと、すごく強いパンチのあるデータが失われていくっていうことなので、それを今、ちゃんと残して、ムーブメントの一発目の起爆剤になれるようなものを、一年かけて作っていこうとしています。そういうのもひとつのきっかけだと思います。

 

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問)小西さんは仕事上でアイディアが思い浮かんだらアイディアを出せる場所があると思うんですけど、私はまだ大学に在学中で、日常の中でどうやってアイディアを発信する場、発表する場を見つけていけばいいか分からなくて、アドバイスが欲しいです。

答)起業すればいいんじゃないですか。いっそ、小さく。別に起業って、巨大なものではないじゃないですか。勝手に立ち上げればいいんじゃないですか。そうしたら、不思議なもので場ができたりとか、みんなが見てくれたりするんですよ。

世の中って誰かが勝手に作ったアワードばっかりじゃないですか。「なんとかデザインアワード」って、お前だれ?みたいな人が作ってて、偉そうに真ん中の椅子に座ってるけど、別にたいして偉い人じゃない。

そうやって自分の発言の場を作ったり、自分の立場を守る場を作ったり、誰でもできるということです。あと、YouTubeで勝手に一生懸命しゃべり続けてるだとか。場を作るので一番簡単なのは、起業かもしれない。起業するなら学生がいいんじゃないですか。オッサンになったら、なかなか動けないですよ。

 

 

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問)何かのタイトルをつけるときに、言葉をデザインするわけですけど、そのときに「ダサ」と思われるのが気になります。バズる言葉とダサい言葉の境目って紙一重なんじゃないかって思うんですが、なかなかその一歩を踏み出せないので、ありきたりな言葉になってしまいます。

答)まず順列があります。めちゃめちゃいいアイディアとかいい言葉、ダサい言葉、普通の言葉。この順です。普通の言葉はダサい言葉よりひどいんです。無視されるんです。ダサい方がまだましって思った方がいいと思います。

それで、自分から言っちゃった方がいいんですよ。「ダサい」って言われたら、「ダサいっすよね」、って言えばいいんですよ。もしくは、昔聞いたことがあるやつなんですけど、「それダサくないですか?」「知ってます」「え?」っていう。「知ってんのか」ってなると、「じゃあ、なんでそうなの?」と聞かれる。「例えば、これこうじゃないですか」と説明できる。そうなると、もう、ダサい、ダサくないじゃなくて、自分の意思か意思じゃないかになるので、関係無くなるんですよ。「ダサいけど、こいつが本気で言いたいんだったら、まあ、通そうかな」ってことになるから。

普通の言葉ばっかり作ってると、ダサい言葉を作れない人になっちゃう。おもしろいことを常に発想していて、それがダサい方に転んじゃったら、それでいいんじゃないですか。「ダサいです」って言えばいいんです。自己肯定です。

 

問)言葉のデザイナーだからこそ見える人生観とか社会に対する視点みたいなものはありますか?

答)人生観になるかどうか分からないですけど、基本的に言葉を使って僕がやろうとすることは、人を幸福にすることです。だから、それ以外のものは排除するっていう意識はあります。

例えば、お水があるのと無いのとでは、お水がある方が幸せな感じがします。おなかが減っている、そこにご飯が出てくる、幸せです、とか。幸せといっても難しく考えることはなくて、単純に世の中で「いいなあ」と思うものは、幸福と結びついていると思うんです。だから、幸福じゃないものの存在を世の中から無くしていきたい。

言葉を変えることは、コミュニケーションをスムーズにさせるっていうことなんですね。「伝える」が「伝わる」になると共感が生まれて、分かり合える。たとえ、ポリシーが違っても、お互いの違いを認めた上で話し合うことができる。コミュニケーションを円滑にする、伝わるアイディアをたくさんの人が使っていく、それによってさらにコミュニケーションがスムーズになる、ミスコミュニケーションが無くなっていく、間違いが無くなっていく。そういう世界は、明らかに幸せな世界だと思うんです。それが世界平和に繋がっていくと本気で信じているんです。

最終的には、絶対に言葉を使って世界平和を実現したい。そういう大きなところに行こうっていう意識は常に持っています。すべてのコミュニケーションの中心には言葉があります。だから、言葉が円滑になったら、すべてのコミュニケーションがうまく行く。そうすると、世界がもっとスムーズになるんじゃないかって思います。

デザイナーズマンションっていうのはありますけど、コピーライターズマンションって言われたら、訳分からないでしょ。それを変えたいんです。コピーライターというのは、コンセプトを作り出せるんです。コンセプトのもとにたくさんの専門家が集まって、ひとつのものを作っていく。その中心には、言葉を使う人間がいて、全てのキーになっている。

だから、絶対に言葉を使う人の地位は上がるべきだし、もっと言うと、コピーライティングを教える学校ができるべきだと思うんです。コピーライターになるためのテクニックを教える学校や講座はありますけど、それはあんまり意味が無い。そうではなくて、コピーライティングっていう概念を教えるべきで、それを死ぬ前までに学問にしたいんです。

 

 

考察

「伝える」が「伝わる」になると共感が生まれて、分かり合える。たとえ、ポリシーが違っても、お互いの違いを認めた上で話し合うことができる。コミュニケーションを円滑にする、伝わるアイディアをたくさんの人が使っていく、それによってさらにコミュニケーションがスムーズになる、ミスコミュニケーションが無くなっていく、間違いが無くなっていく。そういう世界は、明らかに幸せな世界ではないか、という小西さん。モノが売れるようにするための広告業界を越えたこの「言葉を伝えること」の先にあるものは、まさに当財団井上が目指すような平和な社会といえるのかもしれません。インターネットの発展とSNSの拡大により、だれもがいつでもどこでも発言がし易くなった今、自分の発する言葉をちょっと見直してみることもありではないでしょうか?

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