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『”wisdom”、”creative”、”innovative”、この掛け算で未来を』:代表理事 井上
メインのコンセプトは、「叡智」を発掘して活かしていくこと。インターネットでは探せない、簡単な言葉では表現しきれない暗黙知を叡智として磨いていき、100 年後の未来をつくっていけるような行動を起こしていく。そして、叡智をアーカイブし、評価して可視化し、その叡智を使ってどういう未来をデザインしていくか、具体的なアクションに落としこんでいく。キーワードは”wisdom”、”creative”、”innovative”、この掛け算で未来をつくっていきたい。
『占有から共有する時代だからこその財団を』:代表理事 楠本
クリエイティブシェアバリューという概念が広がり、さらには地球全体をシェアするという考え方になると、お互いにどれだけ共有するかという話しになり、専有する時代から共有する時代が必然になってくる。つながりをネットワークのように張り巡らせながら、思いをひとつにできるような場をつくるほうが大切。箱物ではなく、組織という有機的なつながりをつくっていくことが、この財団でやっていきたいことだ。
左:代表理事 井上高志 右:代表理事 楠本修二郎
Keynote Speechでは、 原丈人評議員と竹村真一評議員にお話を頂きました。
『数量化の弊害』経済成長と資本主義、21 世紀の問題を叡智を使って解決する必要性について、原氏はこのように話をされています。「短期的な思考と数量化というものが、叡智を隠してしまうのではないか。全てを数量化してしまうと、目的と手段が逆転してしまう。売るためにモノをつくるようになってしまう。」ブータンの国民総幸福感(GNH)と先進国が一般的に使用する国内総生産(GDP)の事例を上げ、「経済成長が幸福なのかどうか、さらにはあるべき地球の姿というものを真剣に考えていく時期」ともお話されました。中長期的視点で革新的技術により新産業を創生し、世界が悩んでいる問題点を解決に向けて叡智をもって立ち向かう。原氏は日本の役割をここで大きく強調されていました。
『胆力』
叡智を磨くためには何が必要か。「胆力」だと語る原氏。これは学問だけではなく、知力・考力・感力・徳力・体力といったバランスが必要との指摘。これは今後の教育論にもつながってくる話しかとも思います。根本への問いかけと行動が求められるなか、やはりアカデミズムではなくウィズダム(叡智)が重要な役割を果たすのでしょう。
評議員 原丈人氏
竹村氏は、触れる地球とともに登場され、『人間界にとどまらない開かれた”wisdom”の必要性』を地球的視点からお話しくださいました。
叡智が必要になる場面として竹村氏は、「科学の進歩により、伝統的発想が裏付けられている点は様々な事象が説明できるようになり、解決策を見いだし易くはある。一方、IT がどんどん進化する中で、情報量が多すぎて必要なものが見えなくなってしまう。この場面において、叡智のニーズが高まる。」と説明します。
そして、触れる地球で地球に起きている事象を例にとりながら、こう説明しました。「人類が地球に負荷をかけているのは、人類の文明が進み過ぎたからではなく、未熟過ぎるからである。」と。「これからは全く新しい次元の地球目線で、他の生物の価値を取り入れ考えることが重要。人間界だけの閉じた叡智ではなく、地球上すべての生物にまで視野を広げることが求められる」と実際に地球の縮小図を前に非常に説得力のあるお話しでした。
評議員 竹村真一氏