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微生物多様化で、健康かつ持続可能な都市環境を

COVIC-19が猛威をふるい始め、除菌・殺菌が当たり前の世界になった昨今。発酵食品をはじめ、長年菌と共存してきた日本人にとって、すべての菌を排除することは果たしていいことなのでしょうか? いま“加菌”という新しい概念で、都市に生きる微生物を多様化させ、人々を健康に導く研究を行っている伊藤光平さんにお話を伺いました。

〈プロフィール〉
伊藤光平さん
1996年生まれ。山形県鶴岡市出身。都市環境における、微生物コミュ二ティの研究家。高校時代に慶應義塾大学 先端生命科学研究所にて特別研究生として研究に従事した後、慶應義塾大学環境情報学部(SFC)に進学。2018年にはForbesが選ぶ、世界を変える30歳未満の30人『30 UNDER 30 JAPAN 2018』を受賞。2019年9月に大学を卒業し、現在は株式会社ナノセカンドを設立し、微生物多様性で、健康的な都市づくりを目指している。

“加菌”で都市を健康にしたい

Next Wisdom Foundation事務局(以下、事務局):まずは「微生物で都市を健康に」というテーマで研究を始めた背景を聞かせてください。

伊藤光平(以下、伊藤):高校時代から微生物の研究を大学のラボでやらせてもらっていて、純粋に興味が深まったからです。当時はたとえば皮膚や腸内など、体の中にいる微生物を調べていたのですが、体の外にいる微生物が人に与える影響も結構大きいと思っていて。海外ではそういう研究論文も少しずつ出始めていたのですが、基本的に体の外にいる微生物を研究している人は少ないんですね。かつ都市や建造環境など、人間が密集している場所でいろいろな感染症なども拡大しているので、いま研究するなら人への影響が強い都市の微生物の分野かなと思ったんです。

事務局:ここ数年はどのような研究に力を入れているか、詳しく教えてください。

伊藤:3年ほど、日本の都市環境から微生物を採取してゲノム解析をして、それが僕らの健康や病気にどう影響するかということを調べていました。しかしゲノム解析だけだと解決できる問題が限定されるということで、いまはプロバイオティクスといって、微生物を加えて問題解決を図る手法を都市にうまく応用することで、微生物多様性を最適化できないか考えているところです。最近は、微生物を室内環境に放出して室内を森林のような空気で包み込むデバイス『グリーンエア』の開発に向けて必要な実験を自宅で行うなどしています。微生物に有機物を消費させることで、病原菌の増殖を抑制したり、アレルゲンを低減したりすることができます。

事務局:プロバイオティクスの方向に向かっていった理由を、もう少し詳しく教えていただけますか?

伊藤:社会に実装したいと思いながら研究をしていたのですが、微生物のゲノム解析については調べるだけで終わってしまうことが結構多いんです。そこから得られるソリューションは、この微生物はバランスがいいのか悪いのか、あるいはその微生物をどうコントロールするか、といった評価にとどまり、その後のアクションに繋がりにくいんですね。スクリーニングやモニタリングをした先に、何かしらのアクションが伴わないといけないと思い、プロバイオティクスというヨーグルトなどに使われている技術の開発を始めたという経緯です。

CC BY-SA 4.0,Rachelshoemaker,Probiotic.png

その除菌・殺菌は正しいのか?

事務局:現在、COVIC-19の影響で、人々は見えないウイルスや菌というものに対して戦々恐々としている状況ですが、伊藤さんの目にその景色はどう映っていますか?

伊藤:消毒をする場所については、個々人の思い込みが強いんだなということです。たとえば「ここが汚そうだ」と思いながら消毒をされていると思うのですが、実際のところそこにどういう病原菌がいるか、調べてみないとわかりませんよね。みんなやたらと除菌や殺菌を高頻度で行い、しかも間違ったやり方がインターネットで広まっているところなどを見ると、都市にいる微生物のことをより一層リサーチして正しく情報を発信していかなければ、という気になります。

一方で密室や、人が密集する場所は良くないと言われているのは本当にその通りで。密集すると人同士の持つ微生物のやり取り、もっと言うと病原菌のやり取りも生まれます。今回の件で、よく窓を開けるようになったという人が増えた点はとてもいいなと思うのですが、エビデンスがなかったり、人間にとって健康被害を伴うレベルでの除菌や殺菌が行われる世の中になってしまったら嫌だな、という懸念はありました。

事務局:除菌・殺菌が当たり前の世の中で、『グリーンエア』のような“加菌”という発想はとても面白いと思いますが、受け入れてもらえる考え方なのでしょうか?

伊藤:受け入れてもらうしかないと思います。実際、この世には莫大な数の微生物が存在していて、除菌・殺菌しても仕切れないのが現状です。もちろんするべきタイミングはあると思うんですけど、高頻度になりすぎてもあまり意味がない。そういう意味で行きすぎた除菌・殺菌はコストがかかるし、サスティナブルな方向に進んでいるこの世の中では逆行しているようにも見えます。だから、なるべく微生物を殺さず、うまく整えることで解決したいと僕は思っていて。たとえばある環境下の微生物の多様性が高まると、微生物どうしが餌を奪い合ったり生育阻害をしたり、拮抗作用を示して、病原菌が増えづらくなるのではないかとも言われています。除菌・殺菌は一瞬の効果しかありませんので、加菌にはそれとは違う継続したメリットがあるなと思います。

事務局:なるほど。

伊藤:そもそも僕は「都市の微生物の多様性を増やしたら、おそらく人は健康になるだろう」という仮説に基づいて活動しているんです。それはさまざまな論文でも検証されていて、たとえば腸内細菌の多様性をうまく保つことで悪い細菌が増えすぎないような環境をつくることも可能だと言われています。

ただ、都市に森を作り、そこの土壌や植生などから微生物を供給するようなやり方はコストや時間がかかるだけではなく、都市に住む人々が微生物多様性の利益を理解していない現在においては非常に難しい。だから、先に都市に住む個人が微生物多様性のメリットを知って実感してくれるようなプロダクトやサービスが、絶対に必要だと思ったんです。つまり微生物多様性を重視するカルチャーを都市に作り出すということです。一人ひとりへの啓蒙が足りないと個人の集合体である都市に応用できないので、個人向けサービスやプロダクトが必要だという結論に至り『グリーンエア』を開発しています。

(C)伊藤光平

(C)田中大敦

微生物の力で持続可能な世界を作る

事務局:菌や微生物を使いながら生活するって、どんな感じだと思いますか?

伊藤:すでに微生物のおかげで生活できていることも多いですよ。たとえば水の浄化や、食品の発酵もそうですよね。だから僕は「そこに微生物が存在している」ということを、まずは人々に気づかせることが大事だと思っています。

その上で、プロバイオティクスという考え方を都市に実装したい。これまで自然の良さって「癒される」とか「ストレスが減る」というような感性に近い部分が大きく取り上げられていましたが、サイエンスの面からのエビデンスはあまり認知されてきませんでした。そんな自然の価値の一つに微生物多様性の価値を入れたいんです。都市の健康度を測るとき、病院や公園の数や交通機関の充実度などと同じように、微生物多様性が高いのがいい都市であることのひとつの指標になるといいなと思います。

事務局:個人の行動以外のところで言えば、街に公園が確保されている、というようなことでしょうか。公園の中に砂場があったり、動物がいたりすることも価値基準になっていきそうですよね。

伊藤:そうだと思います。たとえば犬の表皮についている微生物やダストのようなものをマウスに食べさせると、腸内細菌のひとつであるラクトバチルスのある種だけがすごく増えて免疫が強化されて、ウイルスにやられにくくなったという論文もあるんです。だから、ペットもそういう意味ではひとつの健康のための指標になるかもしれませんね。

もっと言えば、小さい子どもは免疫の強化ができるんです。これは衛生仮説と呼ばれ、土で遊んだりいろいろなものに触れたりすると免疫が寛容になり、大人になってから花粉症、喘息などの自己免疫疾患の悪化率が下がるといわれています。僕はこの衛生仮説を都市に応用したいんです。いま、都市では花粉症をはじめとしたアレルギー患者が年々増加しています。都市の微生物多様性を保つことで、健康な街づくりができるんじゃないか、と思っていて。

事務局:それは、大人でも遅くないですか?

伊藤:大人だと免疫がすでに確定してしまっている部分はあるのですが、たとえば花粉でいうと、アスファルトの上に落ちても分解されません。しかし、土の上に落ちると微生物が分解してくれるんです。ゆえに微生物がいることによって、ある意味対症療法にもなり得るのかなと思います。ダニやカビなどのアレルゲンも、微生物の力で分解できる部分もありますね。そういう意味で、すでにある問題に対して微生物が答えのひとつになる場面は多そうです。

もうひとつ言うとしたら、薬剤耐性菌の問題ですね。間違った除菌・殺菌が良くない理由は、薬剤に耐性を持っている微生物をセレクションしてしまうきっかけになっているということなんです。薬剤を使用すると、逆に薬剤で死なないものがどんどん増えていく。室内では、抗菌薬入りの製品が室内に残留して薬剤耐性菌を豊富化させる原因になっているとの研究もあります。そうすると健康被害も同様に増えることが想定されます。やはり微生物とはうまく共生していくしかないし、共生できる社会に希望があると僕は思っています。

一方で微生物の活用自体、今後の社会の方向性にはすごくフィットしています。創薬についても微生物の力を借りていますし、水質浄化や汚染物質の除去など、物質循環にも微生物が寄与していますから。いま人間ががんばってコストをかけて解決しようとしている問題って、微生物の力でなんとかなることも多いのではないかと思います。そう考えると、持続可能な社会と微生物って相性がいいですよね。僕たちの事業においては、SDGsの目標の中の「すべての人に健康と福祉を」「住み続けられる街づくりを」「陸の高さを守ろう」などに、微生物は寄与していると思います。

たとえば除菌・殺菌については、効果の持続性やコストの観点で非効率な場面も多いです。すでに地球で様々な物質循環を分解者として支えている微生物をソリューションとして起用することは、生態系システムを応用していて、限りなく持続的なアプローチに近いですよね。そのため、社会を自走させていくのに有効な手段のひとつかなと思います。

微生物は怖がられることも多いですが、食品などに含まれるものはもちろん安全性についての試験もされていますし、適切に扱っていれば心配はないでしょう。ヨーグルトや納豆など発酵食品には多くの微生物がいますし、医療でも健康な人の糞便を疾患がある人の腸に移すことで治療する研究も進んでいます。本当にいろんな人が微生物にいろんなものを作らせているので、さまざまなソリューションを微生物で代替する時代が、少しずつ来ているのかなと思います。

(C)伊藤光平

誰も手をつけていない研究を続ける

事務局:ご自身の研究に関して「ここだけは譲れない」というこだわりはどこでしょうか?

伊藤:やはり「誰もやっていない」ということです。都市と微生物というテーマで研究をしている人はいるのですが、ビジネス面ではほぼ聞かないです。そういう意味でも都市と微生物には可能性を感じます。これまで人間が行ってきたコストがかかることは、自己増殖性や代謝能力など、微生物がものを作り出す力でどんどん代替していきたいですね。いまある持続可能ではないアプローチを微生物で代替していくと、低コストでもっといろいろなものを作ることができたり、実現可能な事柄が増えたりするだろうと思っていて、それを実現させるべく株式会社ナノセカンドを創業しました。

事務局:差し支えなければ、具体的に今後やってみたいことを教えていただけますか?

伊藤:本当にたくさんあります。ひとつは先ほど申し上げた『グリーンエア』というデバイスの開発。室内の微生物をうまくコントロールしつつ、ウイルスだけでなく花粉やカビなども除去する、室内向けのプロダクトです。オフィスやジムなど、不特定多数の人が集まる場所に普及していけたらいいなと思います。

高層ビルは基本的に自然換気ができないので、ダクトの中に空気を通して機械換気をしているのですが、そうなると外から入ってきた微生物が全部ダクトの中に落ちてしまって、室内には風しか入ってこないんです。空気の入れ替えはできるけど、室内の微生物の多様性は高まらない。病院などもそうですが、窓を開けられない事情もありますから、そういう場所で『グリーンエア』がうまく微生物多様性を保つ力になればと思います。

それに付随して、うまく材質を選んだり、風通しについて考えたりしながら室内に微生物を増やせるような建築設計にも興味があります。いまの建築は基本的に、無菌環境を前提に作られています。気密性も高く、窓を開けない限り微生物も入ってきません。そうなると、室内には人間から落ちた微生物だらけになって、結果として病原菌が増えてしまい感染症の原因にもなりかねません。

そして、屋外にもいかに微生物多様性をもたらすかということを考えたいです。どのように緑地を作れば、先ほど申し上げたような衛生仮説が立てられるか、どうやって都市の人たちを健康に守れるかというところで、緑地を最適に構築する方法も今後の展開としては興味があります。

あとは下水道ですね。薬剤や石鹸、抗菌剤などもたくさん流れていて、いろいろなデータが眠っているんです。そういう意味で、下水道のモニタリングにも興味がありますね。

事務局:下水道にはそこに住んでいる人たちの生活スタイル、健康状態などが凝縮されているわけですね。

伊藤:そうです。アメリカのベンチャー企業だと、行政と組んで下水道から薬物を検出しているケースもありますし、データの宝庫なのかなと思います。家庭の排水はすべて下水道に流れるので、それをいかにリアルタイムに近い形で検出して、どこにフィードバックするかですね。

水処理のしくみ(東京都下水道局HPより引用)

微生物リテラシーを上げることの大切さ

事務局:以前「微生物の見える化を進めていきたい」とおっしゃっていました。それについてはいかがですか?

伊藤:見えたほうが便利なケースと、そうでないケースがあると思います。いずれにせよ、どうやって見せるか、どうやってコミュニケーションをとっていくかが大事ですよね。微生物多様性を純粋な便益だけでなく、たとえばSFプロトタイピングのような手法を使って来るべき未来を見せてあげたり、バイオアートのような形で可能性を見せてあげたりする方法が有効だと思っています。

他にはAGAR ARTという微生物で寒天に絵を描くなど、いろいろとチャレンジはしているのですが、まだ模索中です。ただ、顕微鏡の中やシャーレの上にいる微生物を見て喜ぶ人って、おそらくあまりいないでしょうね。たとえば自分が寝ているベッドから微生物を採取してきて「これだけいます」とシャーレを見せられても嬉しくはないでしょう。そういう意味で、コミュニケーションのとり方は考えなければならないと思っています。

事務局:除菌・殺菌に生きがいを感じてしまっている人と、どうやったら共生していけるのでしょうか。どうすれば価値観が変えられると思いますか?

伊藤:大学時代に研究相談に乗っていた修士の学生が「カルチャー」「カルト」「カルティベーション」の3軸から微生物について考えていたのが面白かったです。僕なりにこの3軸について考えているのですが、「カルチャー」は、日本に古くから残る発酵食の文化。海外と比べて、日本には発酵食品がとても多いですよね。微生物が認知される前から日本人は微生物を使って食品を作っているということです。そしてその発酵文化はまた再ブームとして見直されていますし、食はひとつの手段だなと思います。

「カルト」については、日本は見えないものに対して神聖と感じる人が多く、神様に対する祈りも深いですよね。微生物も見えないものとして認識されていますが、どちらかというと恐怖のイメージが強い。同じ見えないものなのに、神様と微生物って正反対というか。でもそこをうまく利用して、見えない微生物に対して神聖なイメージを付与するアートなどの表現方法があればいいなと思っています。京都にある「菌塚」も宗教と微生物が一致したひとつの例です。そういう文化を醸成するようなプロダクト、あるいはアートなどのアクションも面白いかなと思っています。このあたりは、SFプロトタイピングの話に近いですね。

また微生物を農業に使って上手に生態系を作ることで、人の手をあまり加えなくてもたくさんの野菜を同じ場所で育てることができるような仕組みづくりもできますし、微生物の産生物を使った美容製品も数多く販売されているので、さまざまな可能性がありますよね。

日本人は、海藻を分解できる腸内細菌を持つ数少ない民族と言われていて、これは海藻に付着した分解酵素を持つ細菌が海藻ごと腸内に入り、腸内細菌に遺伝子を移したのではないかと言われています。自分たちの文化に微生物がうまく共生した例といえます。これまでの文化や宗教性を見ると、日本人と微生物は非常に親和性が高いなと思います。

事務局:今後私たちに必要になってくるのは、きっと微生物リテラシーですよね。

伊藤:そうなんです。サイエンスの方からアプローチしてもいいのですが、個人的にはアートからアプローチしたいと思っています。モノのスペックで差別化できなくなった時代に実利や利便性からモノを言うのは限界がありますし、みんなが持っている美意識や感情、五感に訴えかけるような作品や表現方法を同時に思索していきたい。

生物学の最先端の技術は、デザイナーベビーなどの遺伝子編集に代表されるように倫理観に触れるところが多いので、サイエンスを突き詰めていくと、やるかやらないかの意思決定は結局倫理観が左右するんです。そのため、理性だけで意思決定していくと倫理観を踏み外しかねない。僕たちが微生物多様性を都市に高めていくという話も、効果の大きさや合理性だけではなく、なぜこれをすべきなのかというビジョンはもちろん、美意識的なところも言語化していって、諦めずに伝え続ける努力をしなければならないと思っています。

事務局:面白いですね。微生物と美意識がリンクするかもしれないというのは、新しい発想だなと思いました。

(C)伊藤光平

菌との共生をポジティブなものに

伊藤:『グリーンエア』の販売についても、急に室内によくわからない微生物を放出する機械が出てきたらきっと怖いですよね。だから微生物多様性の良さを理解してもらうために、個人レベルで微生物多様性を重要視する価値観や文化を醸成していかなければならないと思っています。

事務局:そうですね。腸内細菌については啓蒙も進んでいますが、外にいる微生物についてはすごく敏感で、ネガティブな傾向がありますよね。

伊藤:そうですよね、それは本当にもったいないです。実際に田舎で育った子どもたちは微生物と触れ合っていて、それがさまざまな病気や疾患の罹患率低下の理由になっているというコホート研究もあるんです。それをうまく都市に応用すれば、どんどん人口が密集していっている都市にも、子どもたちが健康に暮らせる幸せな未来を実現できるのではないかと思っています。

事務局:人類は公衆衛生を発展させることで病気に打ち勝ったり、生存率を上げたりしてきたわけで、どちらかというといままでは除菌文化でしたよね。いまは微生物の研究が進み、それを再びデザインし直そうとしているところにあるんだな、と感じました。ちょうどCOVID-19のせいで“超除菌”の世の中になっているいまは、その端境のトップにいるような感じですよね。すごく面白いなと思います。

伊藤:ナイチンゲールは1860年に記された『看護覚え書』にて、換気の重要性を説いています。それはもちろん空気を入れ替えて室内の病原菌を外に逃すという意味もあったでしょうが、結果として外から微生物を加えることで室内の微生物多様性を高め、拮抗作用にて悪い微生物だけが増えづらい環境を作っていたともいえます。除菌・殺菌はすごく強いツールではありますが、少数の病原菌を消すために、同時に大量の無害な菌や有益な菌まで殺してしまうので、本当に使いどころですね。

事務局:医療関係者や研究者だけでなく、一般人もリテラシーを上げていかなければいけないですね。

伊藤:微生物多様性を高めると感染症は減少するのですが、それによって病気にならなくて済んだ人がどれくらい存在するかは個人レベルではなかなかわからないかもしれません。そもそも病気にならなかった人なのか、微生物多様性に助けられた人なのかは比較しようがないですからね。

インフルエンザ予防と謳って販売されていたヨーグルトも、口コミで広まりましたが「もしかしたらインフルエンザに効くかもしれないけど、おいしいから」という理由で売れているのかな、と僕は思っています。感染症予防を実感する以上に「いい匂いがする」とか「おいしい」とか、そういう人にわかりやすく効能を伝えられると強いインセンティブになりますよね。それをうまく自分たちが作るプロダクトに反映させたり、今後の方向性に適用したりしたいのですが、まだ模索中です。

事務局:ありがとうございました。『グリーンエア』が実用化したら購入したいです。

伊藤:ありがとうございます。こういう微生物を対象にしたプロダクトって、不具合が起きた時にネガティブな印象がつきやすいじゃないですか。効果がなければ「効果がないね」で終わるところ「やっぱり微生物はダメだ!」というイメージがついてしまうととても嫌なので、妥協せずにプロダクトを創り上げていきたいと思います。

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