WISDOM PICKUP
叡智というものは、物事を立体視することで奥行きを発見し、その立体感の中に立ち上がってくるものである。
それらは一面的ではない。領域横断的視点を持ち、クロスリファレンスを行いながら紐解くことが大切である。好奇心をもって世界に向かい、自らの経験、時間、情報、さまざまなリソースと視点から世界を見続けることで、叡智という星座が浮かび上がってくる。
働くとは何か? 4月に読みたい記事を公開しました!
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4月に入り、新しい職場や部署で働きはじめた方も多いのでは? Next Wisdom Foundationでは、「働くとは何か?」を多方面から考える記事を公開しました。
まずは、Googleの人材開発担当者と考える働き方改革について、ピョートル・フェリークス・グジバチ氏に話を聞きました。Googleには「働き方改革」は存在せず、強い企業に共通しているのは、強いミッションを持っていることだと言います。
「今シリコンバレーで一番儲かっている会社というのは、グーグル、フェイスブック。そのような会社はミッションが非常に強いんですね。どんな世界を作りたい、ということをしっかりビジョンとして持っています。グーグルは全世界のあらゆる情報を整理して誰でも使えるように提供していく。その情報もネット上のデータだけではなくて、ユーザーの健康情報や環境情報も取り込もうとしている」
2つ目は、働くとは何かを突き詰めた結果、全てのモノを捨てて代々木公園で暮らす道を選んだアーティスト、川畑久夫さんの記事。
「仕事には、たとえばお金を借りてマンションを建てて、さらにそれを担保にしてまた建てて、というようなことが世の中にいっぱいあるじゃないですか。どんな人生も歩けるんですよ、歩こうと思えばね。でも、僕の場合はそうじゃなかったんです。仕事は表現をする手段だと思ったんです。
人間が人間として自分を表現する。何とかして生きていこうと思うと、自分がどんな状況にしても、どのようなものを与えられても、まず自分が幸せな状態をつくることです」
3つ目は、会社・家族・地域など分断したコミュニティを、”拡張家族”で分断を超えて渋谷Ciftをつくった藤代健介さんのインタビュー。
「大学院を卒業するタイミングで就職するという選択肢を一応考えたんですけど、結構すんなりと就職するのをやめました。ひとつの組織に所属することにはメリットとデメリットもあるけど、自分としては常に変化ができるような環境に身を置きたいと思ったんです。それで、自分の会社を作って、そこを軸足にしつつ、他の環境にも依存しながら影響を受けていこうと考えました」
Next Wisdom Foundation研究員 植原正太郎のオススメ記事は?
Next Wisdom Foundation 研究員 植原正太郎
岡山県美作市の里山でオオスズメバチの蜂追い猟と猪の罠猟を生業にする熱田安武さん。地域の人たちからの通称は「野人さん」。猟期になると、毎日野山を駆け回る光景からその名がつけられたそうだ。
彼が相手にするのは「野生」。オオスズメバチもイノシシも、生きている。それぞれの昆虫や動物ごとに、独自の感性のもとに餌をとり、巣を作り、子孫を残している。
熱田さんは猟の最中、その野生の感性に自ら浸ることで、獲物を仕留める。森の匂い、肌にあたる風、獣の気配。言い表すことのできない感性の中で彼は生きている。
トークイベント中、彼の話をとても物珍しそうに聴衆は聞き入っていたが、2000年前に暮らす人たちにとっては当たり前の感覚だったはずだ。今の私たちのDNAの記憶にも残存していると思うと、都会ばかりで過ごしていられない気持ちになる。
4プレートの境界線、世界の大地震20%、活火山の10%をもつ日本人のマインド
Next Wisdom Foundation 研究員 花村えみ
世界はフラット化して、テクノロジーの進化でどこでも生活ができるようになりました。しかし物の味方や考え方は、DNAの情報に深く刻まれていて、他国の人が持つ、神について・自然について・共同体についての考えは、自分とは圧倒的に違うことも認識します。異様に天災の多い日本に生まれた私たちの物の味方は、とてもユニークなはずです。
竹村公太郎さんは、日本人にとってのコミュニティ(共同体・地域社会)とは「川で区切られた流域の中で、自然災害に対して一致団結して働き、助け合う集団」のことだと定義しました。
そういえば以前、ロンドン・ベルリン・ロサンゼルスの各地で、フリーランスとして働く同世代に「コミュニティ」という響きが持つ漠然としたイメージを聞いたことがあります。ロンドンでは家柄や経済格差による閉鎖的なイメージが、ベルリンやロサンゼルスでは、人種や思想による共同体というイメージが上がりました。相手や敵がいて「自分たち」を認識する方法です。
「自分たち」の区切りかたが違う日本人と、そのほかの国の人たち。
20世紀の思想家バックミンスター・フラーは宇宙船地球号という観念を唱えました。これだけ天災が増えてきた現在、日本人の「自分たち」の区切り方や定義の仕方は、とても重要な示唆を世界に与えるのではないでしょうか。
Next Wisdom Foundation事務局 清田直博のオススメ記事は?
Next Wisdom Foundation 研究員 清田直博
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- Next Wisdom Foundation 研究員
- Next Wisdom Gathering “人工知能の未来“ 【前編】増殖するテクノロジー
- Next Wisdom Gathering “人工知能の未来“ 【後編】知性をつくるのではなく、生命をつくる
本当に機械は人間を超えるのか?
AI(人工知能)がIoT(モノのインターネット)を通じてますます僕らの生活に入り込み、2045年にはAIが人間の知能を超えるという特異点「シンギュラリティ」を迎えると言われ、今までSFの中の話だと思っていた出来事がまさに現実に変わろうとしている。
しかしAIやテクノロジーの急激な発達が描く2次曲線は、何もコンピューターの中だけで起こるのではなく自然界にも「Exponential Growth(指数関数的な増殖)」としてしばしば見られる現象で、「機械が進化すると生命に似てくる」と唱えるのが、人工知能ではなく人口“生命“を研究する複雑系の科学者、池上高志さんだ。
機械が人間を超えるのではなく、機械は「生命」になるのだ。そうすると「生命ってなんだろう?」という新たな疑問が湧いてくる。複雑で掴み所がない「生命」というものに人はどう対峙すべきか、どのように理解すべきか。その新しいパースペクティブを池上さんは示してくれる。
とにかく「AI」とか「シンギュラリティ」とかよく分からない言葉に踊らされる前に、ぜひこの記事を読んでほしい。
Next Wisdom Foundation事務局 小柴美保のオススメ記事は?
Next Wisdom Foundation 研究員 小柴美保
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- Next Wisdom Foundation 研究員
オススメ記事① 叡智とはなにか?(竹村真一氏インタビュー)
よく聞かれます。『この財団のゴールはなんでしょうか?そのために何をするのでしょうか?』そうなのです。私たちも見えている部分とこれから見えてくる部分があると思っています。
財団が標榜している「これから必要な叡智」について、的確に文化人類学者の竹村さんにお話いただいた記事が、私たちの一つの原点でもあると思っています。実はこの記事、竹村さんの次の予定が詰まっていたため、ものすごく焦りながらインタビューを行ったのですが、その分竹村さんがものすごくわかりやすく伝えてくださいました。ぜひお読みいただき、ぼーっと叡智ってなんだろうなーと考えていただけると嬉しいです。
オススメ記事② 変わらぬ技で、変わり続ける 鎚起銅器 玉川堂(燕市)
もう一つ、工場の祭典という燕三条に取材に行った際のレポート記事の玉川堂の記事をオススメします。若者も弟子入りして10数名が銅を叩いてお鍋や急須を作っている光景がまだ目に焼きついています。どんどん機械化が進む中で、これって必要なのでしょうか? これは残すべき技術でしょうか?これは日常品なのでしょうか?芸術品になってしまうのでしょうか? このあたりにこれからの叡智が隠れているように思います。
Next Wisdom Foundation事務局 後藤香織のオススメ記事は?
Next Wisdom Foundation 事務局長 後藤香織
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- Next Wisdom Foundation 事務局長
- 雨水を天水に墨田区から世界に拡がる叡智(1/5)"東京で謎の洪水が起こる"
- 雨水を天水に墨田区から世界に拡がる叡智(2/5)”流せば洪水、貯めれば資源”
- 雨水を天水に墨田区から世界に拡がる叡智(3/5)”国技館を雨水タンクに”
こんにちは!事務局長の後藤です。 財団設立から全てのイベントと取材に関わらせていただいている私のオススメ記事は…「全部っ!」と言いたいところですが(笑) 叡智という言葉自体馴染みのなかった不肖ワタクシが、活動を進めて来て一番感じていることは「叡智をもって活動しているコト・モノ・ヒトは分野が全く違っても、なにか共通するポイントというか信念、真理が存在している。」ということです。
それらを星のように散りばめ、これからの新しい社会を生きていく方が、必要な何かを見つけだすきっかけづくりの一端を担うことがNext Wisdomの役割のひとつかと感じています。
私の記事オススメは、 ドクター・スカイウォーター(雨水博士)天水研究所の代表、村瀬誠さんの記事です。1980年ごろから頻発した「都市型洪水」。墨田区の保健所職員という立場から市民の声と向き合った村瀬さん、入所5年目の職員が区長までを巻き込み、ついには日本相撲協会に雨水タンクを国技館に設置してもらうことに成功。「雨水を天水に」洪水の解消と非常時の水源確保の両方に成功しました。この雨水利用は現在では他の行政のみならず、21世紀型の雨水マネジメントモデルとして世界的に注目されています。
Next Wisdom Foundation事務局 石川歩のオススメ記事は?
Next Wisdom Foundation事務局 石川歩
- PROFILE
- Next Wisdom Foundation事務局 兼 フリーランス編集者・ライター
日本人は木が好きだ。
やっぱり家具は木だよねって思うし、旅行に行けば檜風呂最高となる。
ヒノキやスギやマツ…木の香りのアロマオイルや入浴剤を愛してやまないし、
(個人的には)賃貸物件によくある木目シートなんてクソくらえと思う。
でも、実は日本の国土の7割は山だっていうのに、
木材は輸入しているし、日本の林業従事者は減っている。
そもそも林業が成り立っていない地域が多いのが現実。
そんななかで、おもしろい人たちが集まって林業を盛り上げつつ、
自分たちの仕事を楽しがりつつ、
全国の「地方創生関係者」から注目を集めているのが、岡山県の西粟倉村。
私のおすすめは、衰退する日本の林業と真っ向勝負をしている西粟倉村の記事たちです。
日本の山の危機的状況に何もできていない自分自身の罪滅ぼしかもしれないなあ…と思いながら、
でも、まずは、こんな痛快な村があることを、多くの方に知ってほしいと思って選びました。
当財団代表理事 井上高志のオススメ記事は?
当財団代表理事、株式会社LIFULL代表取締役社長 井上高志
- PROFILE
- 株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務時代に「不動産業界の仕組みを変えたい」との強い想いを抱き、97年株式会社ネクストを設立。不動産・住宅情報サイト『HOME’S(ホームズ)』(現『LIFULL HOME’S』)を立ち上げ、掲載物件数No.1(※)のサイトに育て上げる。現在は、国内・海外併せて14社の子会社を展開、世界57ヶ国にサービス展開している(2017年6月時点)。会社設立20周年となる2017年4月に社名を「株式会社LIFULL(ライフル)」に変更。個人の活動として、ベナン共和国の産業支援プロジェクトを展開するほか、一般財団法人Endeavor Japan ファウンディングボードメンバー、一般社団法人21世紀学び研究所 理事等を務める。※産経メディックス調査(2017.1.27)
- 【SOW!Vol.3】世界ゆるスポーツ協会 澤田智洋氏
- 【SOW! Vol.3】ものづくりの学校(産地の学校) 下山和希氏
- 【SOW! Vol.3】1945 両角慶太氏
- 【SOW! Vol.3】株式会社a.school 岩田拓真氏
- 【SOW! Vol.3】株式会社ニューキャンバス 杉山文野氏
「人類の幸福と世界平和 = 心 × 社会システム × テクノロジー」
身障者、精神疾患、LGBT、難病、ADHD、発達障碍はマイノリティだと区別すべきではないし、シングルマザー、未婚、オタク、趣味、信仰、思想、癖、人種、国家の対立など、切り取る角度を変えて、視点を変えてみれば、実はすべての人はマイノリティだと言えるかもしれません。お互いにそれを隠し、無理をして着飾って生きるよりも、さらけ出してお互いを認め合う社会は、安心安全な「寛容社会」となっていきます。一人ひとり誰もが尊い存在なのです。基本的人権の意味をより深めて理解し、その人権が守られる社会にしていきたい。そのためには、この方程式が実現されるよう、自らができることを常に自問し、推し進めていきたいと思っています。