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大正初期に弥彦山の銅を原料にした湯たんぽや煙管などをつくる工場として創業。時代に合わせて商品展開を変えながら、現在では火ばさみ、清掃トング、園芸用スコップなどを主に製作し販売している。ほとんどの商品は単価が低い日用品だが、コスト競争力のある海外業者すら参入できないような非常にニッチなジャンルに絞って商品展開をしている。
特に、ゴミ拾い用トング「MAGIP」は外部のデザイナーとともに商品開発され、世界中でこの永塚製作所だけがつくっているオリジナル商品。街づくりや地域活性の文脈で近年盛んになっているゴミ拾いボランティア活動に注目し、従来から製造していた清掃トングをベースに、シリコン樹脂製の持ち手とキャップをつけることで新しい商品を作り上げた。社会のニーズを探り、自社の持つ製品と技術を巧みに変化させ、新しい商品を生み出した。
江戸時代に和釘の製造からはじまり、煙管、洋食器、厨房用品、産業用機械部品など、時代に合わせて製品を変えることで現代まで生き残った燕三条の金属加工業。その変遷の歴史をまさに体現したような工場だ。
数十年間かたちが変わっていない園芸用スコップ。
- Text / Photo:
- KIYOTA NAOHIRO
- Plan:
- Mirai Institute