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境界を越えて世界を結ぶ(2/5) “最初にチームのコアを作る、そこから先はチャンプルー”

境界を越えて世界を結ぶ(1/5)からのつづき

 

高橋:大吾とはずっと昔から友達なんだけど、ゲバラ(高橋)、カストロ(佐藤)じゃないけど、路上と街、田舎と都会、漢字読めない・読めるみたいな、そういうとこで分担したわけ。

震災の復興支援のときも、おれが日本中からボランティア集めて、地域の人と一緒にグチャグチャッと現場でやっていく。でも、ものすごいお金かかるわけ。衣食住があって、車借りて、ユンボ借りて、怪我したらどうだとか、毎日のガソリン代はどうだとか。おれの言語で語っても、経営者とか財団の人にはあんまり通じないじゃん。でも、大吾に熱く語れば、ちゃんと世の中の人に分かるようにパッケージして伝えてくれる。実際、ものすごい金額が石巻の現場に降りてきた。そのお金で、おれらはボランティアの仲間をまとめて活動する。そして、お金を出した人たちにも満足してもらう。そういうリアルがあって。もしも、二人がそれぞれ別々にやってたら、やれたことは10分の1くらいだったでしょ。

佐藤:そうだね。インターネット苦手な人なのに、珍しく歩からスカイプが来て。3月11日の夜ですよ。「今、日本大変なことになってるけど、何してるの?」と聞いたら、「今、上海で旅の途中だ」と。それで、「すぐ帰って来い」って話をして。

歩は帰って来てすぐに若者をバーッと組織したんだけど、当然、NPOでもボランティアでもコストはかかる。それで、一緒にやろう、担当を分けましょう、と。僕からすれば、いろんな人の気持ちとお金を預かってる立場で、変なNPOには渡せないわけです。でも、歩に渡すなら安心だな、と。それで、ちゃんと結果も出してくれた。

高橋:インドのバラナシで学校をやるって言ったときも似たような感じで。現地を旅してたら、死にそうな人がゴロゴロ転がってるわけよ。おれ、ヤンキーしながら家でマザー・テレサ読んでる変わった人だったから、なんかやりてえなあって思ったの。そこで会ったインド人の女の子たちが、「私たちは、貧しい子どもたちが無料で学べる学校を作りたいんだけど、まだお金を貯めてるところなの」と。そのとき、おれ、頭の中で少年ジャンプのマンガの主人公になってて、一面抜きのダーンみたいな感じで、「まかしとけー」って。でもおれ、本当は貯金無かったんだけどね。それで、日本に帰って、仲間にいっぱい電話して。ちょっとずつ出してもらって、300万集まって。というのがスタートだったわけね。

佐藤:300万円で学校建てるって、ものすごく格安でしょ。それで、人件費を下げようと。「食べ物と寝る場所は用意します。ただし、バラナシに現地集合、給料ゼロです」ってウェブで呼びかけて。その結果、工事していた30日間、ずっと入れ替わりで100人くらいの日本人が来てくれた。

高橋:震災の時も全く同じだけど、気持ちよかったのは、ミックスとかジャムとか、沖縄の言葉で言う「チャンプルー」みたいな感覚ね。最初は日本から来た奴ら だけでやってるんだけど、だんだん旅人とか外国人とか現地のオヤジとかが混ざってくるんだよ。現地の子どもにも「てめえが通う学校なんだから、一緒に作れよ」みたいな。おれ、被災地でもそうだよ。タバコ吸ってる地元の人いたら、「オヤジ、一緒にやんねえ?」みたいな。それで、グチャグチャッとなって、おれ がイメージしたことより何倍もすごいことになる。

佐藤:決して被災者にやさしくなかったもんね。あとボランティアにもやさしくなかった。

高橋:おもしろかったのはね、おれたち「今日はガレキ何トン片付けました、ワッショイ!」みたいな奴が多かったわけ。でも、いつも後ろの方にいるようなタイプの女の子が「お風呂に入れない人がかわいそう」って言うから、みんなでお風呂作って。それからは彼女が、「今日は何人のおばあちゃんがお風呂に入ってくれました」と締めてくれるようになった。不良から優等生、静かな女の子まで、クラスにいそうなキャラが全部揃って、みんないい感じ、みたいな。

楠本:ずっと思ってたんだけど、小学校の頃、歩君みたいな人いたよね。5年生くらいまでは確実にいたのよ。でも、中学くらいからだんだんいなくなって、高校ではいなくなる。やっぱり小学校のクラスメイトの構造はすごいコミュニティだもんね。

佐藤:小学校のときのまま、ずっと成長していないと(笑)

高橋:チームを作るのって、『ワンピース』がいい例だと思うんだけど、 自分で全部はできないから。震災の時、ボランティアって車で現場に出動していくわけじゃん。ハイエースなら1台に8人。そこにリーダーがいなかったら烏合 の衆になる。だから、100人ボランティアがいるんだったら、リーダー的な奴らが十数人要ると思って、最初に声かけて連れて行ったの。

楠本:少年ジャンプなんだよね、歩君は。少年ジャンプって、愛と勇気と、えーと、なんだっけ?

佐藤:友情、努力、勝利。歩君は何やってても、いつも自分はロトの勇者なわけですよ。アカレンジャーですよ。例が古いんだよな(笑)。とにかく、自分は真ん中の人しかやらない。それで、脇を固めてくれる人を必ず作っていくわけです。その最小ユニットを作るのが超うまいんですよ。そこは本当に尊敬できます。

楠本:『ドラゴンボール』の悟空なんか、どこまで戦うんだろうなって思ってたら、最後、相手とマブダチになるわけよ。強い相手であればあるほど、どんどん戦っていって、どんどん仲良くなる。どこまででも行けちゃうんだよね。愛と、冒険と、あと何だっけ?

佐藤:愛も無いし、冒険も無いです。友情、努力、勝利です。

 

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