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NEXTWISDOM CONSTELLATIONS2014-2018

Next Wisdom Foundationは、「未来に残すべき古今東西の叡智を集める」ことを目的に設立された一般財団法人です。2014年の設立からこれまで、様々な人や場所に宿る叡智を探り、数々のトークイベントや取材を重ね、それらの活動をレポート記事としてウェブサイトにアーカイブしてきました。本書は、2014年から2018年の記事を中心に再編集し、書籍として編みなおしたものです。今を生きる私たちが、百年前に生きた人々の叡智に触れるための一番よい方法は、本を読むことです。この本が読者の知的好奇心に火を点け、これからの百年に必要な新たな叡智を生みだすきっかけの一つになれればと願っております。

  • 編者一般財団法人Next Wisdom Foundation
  • 定価3,000円(税別)
  • 発行日2020年11月中旬発行
  • ISBN9784991092503
  • ページ数1,023ページ
  • サイズA5版、上製本
  • 発行Next Wisdom Publication

“Wisdom"

叡智を言葉にすることはできないが、読者それぞれが叡智の星座を作るための助けとなるであろう考え方や概念の一覧

  • 「我慢教」「努力教」に支配された社会
    Details
    「AIに仕事を奪われる」という認識は、我慢教、努力教に支配された現在の資本主義経済だから生まれる恐れではないでしょうか。(松本紹圭|仏教者インタビュー)
  • Details
    ビットコインというのは岩だ
    「ビットコインというのは岩だ」と私はよく言ってます。地球上で約10分に1回採掘されてくる岩なんです。岩には1メガバイト程のデータが書き込めるようになっていて、それは誰も編集できない。それが主に中国で採掘されている。(瀧俊雄|株式会社マネーフォワード取締役兼Fintech研究所長インタビュー)
  • ネアンデルタール人と人類を分けたのは想像力だ
    Details
    今そこにいない人のことを想像したり、決して存在し得ないことをイメージしたりする能力。それが人間にはあって、ネアンデルタール人にはなかった。そのことが両者の運命を分けたんじゃないかと言われています。(港千尋|写真家・著述家、NPO法人Art Bridge Institute 代表理事、多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授×竹村真一|京都造形芸術大学教授、Earth Literacy Program代表、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員対談イベント)
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    自分の思いのために自分を賭けてみよう
    一人一人の中に眠っているファンタジーがうまく言語化されて自分で見えるようになってくると、保身とか短期的な守りよりも、自分の思いのために自分を賭けてみようかという気になるという可能性は、人間の中にあるんじゃないか(影山 知明 | クルミドコーヒー、胡桃堂喫茶店店主インタビュー)
  • 人々が歩き、立ち止まり、座り、眺め、聞き、話すための街
    Details
    ヤン・ゲールさんというデンマークのコペンハーゲンで活動する都市計画家ですけれども、世界的に活躍されている方で、『人間の街』という著書では、「街は人々が歩き、立ち止まり、座り、眺め、聞き、話す、一切の条件を備えていなければならない。」と語っています。道路が広くなければならないとか、商業面積が多くなければいけないなどとは言っていないわけです。(島原万丈|株式会社LIFULL HOME’S総研所長トークイベント)
  • Details
    観光客よりシビックプライド
    都市部から観光客を呼ぶことがゴールなのではなく、「シビックプライド」、町の人が真鶴にプライドを持ってくれること、それが重要(卜部直也|真鶴町 企画調整課 渉外係長インタビュー)
  • 出る杭をみんなで作る
    Details
    ジャンルと国境を越えて人々をつなぎ、アイデアを持ち寄る、共感の連鎖を力にする。顔の見えない組織のロジックではなく、一人ひとりの人間の発想と能力を集めて組み立てる。慣れ親しんだ過去を基準にするのではなく、まだ誰も知らない未来を基準にする。出る杭を打つのではなく、出る杭をみんなで作る。(飯田昭雄|一般社団法人ISHINOMAKI 2.0理事、アートバイヤー、キュレーター、編集者、プロデューサー×岩井俊介|クリエイティブディレクター×松崎勉氏|ハーマンミラージャパン株式会社 代表取締役社長トークイベント)
  • Details
    日本流の徒弟制度だからこそ残せた文化がある
    何百年も前からあって、現代に残っているというのはすごいことなんです。時代の淘汰を受けながら、それでも残っているわけです。だから海を越えても外国の人が笑えるくらいの普遍性が備わっているんですね。そういう文化が残っているということは素晴らしいことですし、ゆったりと変化が加わっていく日本流の徒弟制度だからこそ残せた文化です。(立川志の春|落語家トークイベント)
  • 日本の教育は中等教育に穴があいている
    Details
    この二つの大きな流れがある中で、真ん中の中等教育はぽっかり穴があいていて世界的に薄い傾向があります。日本では中高生が、特に受験が一番厳しくてなかなか時間がとれない、一番変わりにくい領域です。彼らは、親と先生と学校の友達以外に社会との関わりがないすごく狭い世界にいます。創造性が育まれる場が少ないのではないか。私たちはそこに目をつけて、探求型教育と想像型教育を組み合わせたようなやり方でなんとか事業にできないか、いま動いているところです。(岩田拓真|株式会社a.school(エイスクール)代表取締役 校長トークイベント)
  • Details
    日本も実はものすごくエコでエシカルな国
    私は、日本も実はものすごくエコでエシカルな国だと思うんです。「三方良し」という言葉があるように、売り手良し買い手良し世間良し、みんなを幸せにしていこうって考え方は昔からありました。日本でエコとエシカルがなかなか広がらない理由は、当たり前だからなのではないでしょうか。足元にある精神だからこそ、意識的に再生させて、今の社会に適切な形で発信していけたら、と思うのです。(生駒芳子|ファッション・ジャーナリスト、アート・プロデューサー、株式会社アートダイナミクス代表取締役、伝統工芸ブランドHIRUME総合プロデューサー、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員トークイベント)
  • センスは努力で得られるもの
    Details
    何年も同じ仕事をしていると、正解よりも不正解をたくさん積み重ねていくわけです。そうすると、不正解を選ばなくなるからセンスがいい人に勝手になっていく。意識してそれを積み重ねたかということが大事で、失敗し続ける人のほうが後々伸びていけるんですね。(小西利行|POOL INC.CEO、一般財団法人Next Wisdom Foundation 理事トークイベント)
  • Details
    ファッションの本来の機能は魔除け
    ファッションの本来の機能は結局「魔除け」なんですよ。ファッションはパワーをくれるアイテムなんですが、同時に魔除けでもある。(酒井聡|株式会社ニューロープ 代表取締役×生駒芳子|ファッション・ジャーナリスト、アート・プロデューサー、株式会社アートダイナミクス代表取締役、伝統工芸ブランドHIRUME総合プロデューサー、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員トークイベント
  • 生き方がおしゃれのエッセンスよ
    Details
    カッコ良さは数値化しづらいと思いますね。ファッションを極めているパリのエディターなんかは「オシャレとは態度(アリュール)。服そのものじゃない、生き方がおしゃれのエッセンスよ」と言います。そこまでいくと数値化できないですよね。だから方程式みたいなものは無い。どんなに素敵なお洋服を着ていても、顔の表情とか、態度とか、雰囲気とか、そういう内面が伴っていないモデルは絶対使ってもらえないんですよ。トップモデルがそうであるように。(酒井聡|株式会社ニューロープ 代表取締役×生駒芳子|ファッション・ジャーナリスト、アート・プロデューサー、株式会社アートダイナミクス代表取締役、伝統工芸ブランドHIRUME総合プロデューサー、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員トークイベント
  • Details
    映画は良くも悪くも世界を動かす
    色んなことをやってきましたが、今は映画に特化しております。映画の力を使って、気づきや、発見、新しいアイデアを社会に届け、映画の学びをきっかけにみんなで行動しよう。そして社会を変革しよう。そういうことを呼びかけています。(関根健次|ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役トークイベント)
  • デザインとは現代のクラフト
    Details
    アメリカのポートランドにあるデザイン学校では、デザインを「Design as a contemporary craft」(現代のクラフトとしてのデザイン)として定義しはじめています。作り方や個性、意匠なども全部が合わさって流れを作るというのが現代のデザインであり、時代の空気やその背景にある経済や政治の流れ、時代の思想とつながっている。(黒﨑 輝男|流石創造集団株式会社CEOトークイベント)
  • Details
    粋かどうかで決めようよ
    今は「デザイン」という言葉をあまり使わないほうがいいと思います。意味の定義が難しいから。粋かどうかで決めようよ。一概には言えないんですが、感覚的にわかるかが重要なんです。(黒﨑 輝男|流石創造集団株式会社CEOトークイベント)
  • バラバラな色を俯瞰すると無彩色になる
    Details
    「グレー色で全部塗り潰す=同じ製品を全員が使う」という、もうそういう時代ではない。全部が違う色を持っている。ただ、全体から俯瞰して見ると全部が混じって無彩色に見える。バラバラの光を尊重していく。プラットフォームを作るという概念は、結構それに似ていると思います。(黒﨑 輝男|流石創造集団株式会社CEOトークイベント)
  • Details
    ある意味ひどい教育にこそ重要なエッセンスがある
    「お前らみたいに分かっている奴を連れて行ってもおもしろくないから、今年は出来の悪い奴を連れて行く」という。こういう教育は、ある意味ひどい。だけど、ひどい教育にこそ重要なエッセンスがある。(山本秀樹|ミネルバ大学日本事務所代表×中邑賢龍 |東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野教授×小西利行|POOL INC.CEO、一般財団法人Next Wisdom Foundation 理事トークイベント)
  • 社会で問われるのは学位ではなくスキル
    Details
    では、社会で活躍できる人材にはどういうスキルが求められているか?これを世界経済フォーラムの人たちがまとめると、「複雑な状態にあるものを明確に分析して、いろんな国の多様性に富む人たちとクリアにコミュニケーションをとって問題を解決する」ということになる。他の調査だと実に93%の雇用者は、どの学位を取ったかではなくて、どういうスキルを持っているかの方がずっと大事だ(http://news.gallup.com/poll/167630/business-leaders-doubt-colleges-prepare-students.aspx)、ということを言っています。(山本秀樹|ミネルバ大学日本事務所代表×中邑賢龍 |東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野教授×小西利行|POOL INC.CEO、一般財団法人Next Wisdom Foundation 理事トークイベント)
  • Details
    人と人は違うからこそ理解し合うんだ
    やっぱり日本人が危機感を持った方がいいなと思うのは、日本の人口が減っていって、どうしても国際社会と交わらなきゃいけないときに、この同調性を他国の人に求めたら非常に危険な状態に陥る。人と人は違うからこそ理解し合うんだ、という概念を持てるかどうかなんですよ。(山本秀樹|ミネルバ大学日本事務所代表×中邑賢龍 |東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野教授×小西利行|POOL INC.CEO、一般財団法人Next Wisdom Foundation 理事トークイベント)
  • いいね!は人の気持ちの定量化
    Details
    従来は宗教とか哲学で語られたテーマです。なぜなら定量化できませんからね。しかしそこに穴を開けたのが実は、「いいね!」などのレーティングなんです。つまり恣意的・主観的な操作によって、ある程度経済価値が見えるようになったということです。(矢野和男|日立製作所フェロー、理事×ナカムラケンタ|株式会社シゴトヒト代表取締役トークイベント)
  • Details
    我々の仲間はみんな小さくバカになってしまった
    映画『もののけ姫』で、イノシシの神様である乙事主が「我々の仲間はみんな小さくバカになってしまった」と嘆く場面がありますが、あれを見ていて僕は、私たち自身が意識をして人間のアップグレードを追求していかない限り、30年、40年後、乙事主(おっことぬし)が感じたような事態に陥る可能性もあるのではないかと考えました。(竹村真一|京都造形芸術大学教授、Earth Literacy Program代表、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員トークイベント)
  • 課題解決を行う主体は行政でも民間でもいい
    Details
    最終的にプレイヤーが誰であるか、つまり企業なのか行政なのかは重要ではないと考えています。今直面している課題の解決を探ることが重要で、そこから事業が生まれていくと思いますし、それがビジネスにまでならないのであれば、行政とタッグを組めばいい。それでも解決できないが解決しなければならない課題は行政がやればいい。(伊藤貴紀|経済産業省 秘書課(『不安な個人、立ちすくむ国家』執筆の経済産業省若手チーム)トークイベント)
  • Details
    一部の人にしか理解できない価値が八百万の神のようにある
    広く見たときにほとんどのものに、一般的な社会経済のように誰にでも理解できる価値とは違う、一部の人にしか理解できない価値が八百万の神のようにあるわけです。人それぞれに大事な世界を持っていて、その世界の中で行動するのに必ず「対価」を調達することが必要になるときがあります。しかし、そのための評価経済圏であったり、その経済圏の中でみんながきちんと約束を守って行動したりということについては、まだまだ発展途上です。(瀧俊雄|株式会社マネーフォワード取締役兼Fintech研究所長インタビュー)
  • 仕事が奪われるのではなく「やってくれる」と考えるべき
    Details
    人間の仕事が奪われるというのは、人間の仕事が丸ごと奪われるのではなく、既存の職業が担っている仕事の一部が奪われる、AIでできることをやってくれると考えるべき。(山田誠二|人工知能学会会長、国立情報学研究所教授、総合研究大学院大学教授、東京工業大学大学院特定教授インタビュー)
  • Details
    人との出会いはプログラミングできない
    もしAIでいろんなものが自動化されたとしても、おそらくその次に求められるものはAIにはできないことになる。それは、想像力とか妄想力って言うけど、つまり人と人が触れあって発生する予期せぬもの、プログラムが想定できないものでなくてはならない。(山形浩生|評論家、翻訳家×島原万丈|株式会社LIFULL HOME’S総研所長トークイベント)
  • 横丁文化を守ろう
    Details
    それこそAIで仕事が無くなるというのが本当であるならば、やっぱり今までのような形での都市の集積ではなくなる。もしかしたら、さっき言ったようなコミケが広がっていくような形で、文化を中心として人が集まってくるようなことが起こるかもしれない。(山形浩生|評論家、翻訳家×島原万丈|株式会社LIFULL HOME’S総研所長トークイベント)
  • Details
    土地を買うのに借金するのは大きなリスク
    二十一世紀型の価値観で考えてみると、土地を買うのに大きなお金を使って、二十年借金にロックされて土地に縛られて、環境が悪化しても引っ越しもできないというのは、リスクです。土地にお金を使うくらいなら、そのお金で世界中好きなところに行って、好きなように過ごして、いろいろな人たちと出会って楽しく暮らしていけばいい。そちらにお金を回したほうが豊かなのではないか。(孫泰蔵|Mistletoe ファウンダー×前野隆司|幸福学研究者トークイベント)
  • 本土のカーラジオから聞こえてくる元ちとせの歌に泣く
    Details
    "奄美の人たちは、江戸時代には薩摩による厳しい支配があって、一文字姓を持つことを強制させられたり、戦後はアメリカの支配が長かったり、いろいろなことがあったので、自分たちの文化に自信が持つのがなかなか困難な地域でした。特に五十代、六十代の人は、本土に来て奄美出身ということを言えずに過ごしている人が多かったそうです。本土で出稼ぎをしていたある人は、元ちとせの歌がカーラジオから流れて来たとき、初めて自分が奄美出身であることにプライドを持てて、車を路肩につけて、おいおい声をあげて泣いてしまったと言います。  それは奄美の人だけではなく、静岡出身である私も東京に対してある程度持っていた感情です。東京に対する劣等感です。そして東京の人は、おそらくアメリカに対して同じような感情を抱いていたと思います。アメリカ人みたいになりたい、と。そしてアメリカ人は、似たような感情をヨーロッパに対して抱いていたと思います。つまり、植民地のエリートは旧宗主国の文化に憧れるという、ある種の男性支配的な発想から生まれた傾向が二〇世紀において支配的だったと私は考えています。(渡辺真也|インディペンデントキュレーター、映画監督インタビュー)"
  • Details
    「日本人」という概念は作られたもの
    大陸の情勢に応じて、日本への移民はものすごく多かった。この事は『記紀』や『新撰姓氏録』中、西暦231年弓月の国の国王が127県の民を従えて帰化した旨の項目に代表されます。新羅・高句麗・百済などとの交易を通じては様々な文化が持ち込まれ、異なる民族間から何世代何十世代もかけて日本人という概念はつくられてきました。(籔内洋介|尺八奏者、日本芸能史家トークイベント)

    Speakers

    1. 飯田昭雄|一般社団法人ISHINOMAKI 2.0理事、アートバイヤー、キュレーター、編集者、プロデューサー
    2. 池上高志|東京大学大学院総合文化研究科 教授
    3. 生駒芳子|ファッション・ジャーナリスト、アート・プロデューサー、株式会社アートダイナミクス代表取締役、HIRUME総合プロデューサー、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員
    4. 磯野謙|自然電力株式会社 代表取締役
    5. 伊藤貴紀|経済産業省 秘書課(『不安な個人、立ちすくむ国家』執筆の経済産業省若手チーム)
    6. 井上高志|株式会社LIFULL 代表取締役社長、一般財団法人Next Wisdom Foundation 代表理事
    7. 岩井俊介|クリエイティブディレクター
    8. 岩崎秀雄|アーティスト、生命科学研究者
    9. 岩田拓真|株式会社a.school(エイスクール)代表取締役 校長
    10. 梅澤高明|A.T.カーニー 日本法人会長、ナイトタイムエコノミー推進協議会理事
    11. 卜部直也|真鶴町 企画調整課 渉外係長
    12. 江原義春|特定非営利活動法人R水素ネットワーク代表理事
    13. 小山伸二|株式会社辻料理教育研究所 メディア・プロデューサ
    14. 影山 知明 | クルミドコーヒー、胡桃堂喫茶店店主
    15. 唐澤秀|鹿嶋パラダイス代表
    16. 川畑久夫|画家・露天商
    17. 木島三代子|「呑屋 しの」ママ
    18. 工藤郁子|PHP総研主任研究員、東京大学未来ビジョン研究センター客員研究員
    19. 黒﨑 輝男|流石創造集団株式会社CEO
    20. 黒田明伸|東京大学東洋文化研究所教授
    21. 小西利行|POOL INC.CEO、一般財団法人Next Wisdom Foundation 理事
    22. 近藤克則|千葉大学予防医学センター 教授
    23. 齋藤貴弘|ニューポート法律事務所 第二東京弁護士会所属 弁護士
    24. 酒井聡|株式会社ニューロープ 代表取締役
    25. 佐々木康裕 | Takram ディレクター
    26. 佐藤航陽|株式会社メタップス代表取締役
    27. 島原万丈|株式会社LIFULL HOME’S総研所
    28. 鈴木悌介|鈴廣かまぼこグループ 代表取締役副社長
    29. 関根健次|ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役
    30. 孫泰蔵|Mistletoe ファウンダー
    31. 瀧俊雄|株式会社マネーフォワード取締役兼Fintech研究所長
    32. 竹村公太郎|特定非営利活動法人 日本水フォーラム代表理事・事務局長、博士(工学)、 東北大学非常勤講師
    33. 竹村真一|京都造形芸術大学教授、Earth Literacy Program代表、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員
    34. 立川志の春|落語家
    35. 出口治明|立命館アジア太平洋大学(APU)学長
    36. 堂免一成 | 東京大学大学院工学系研究科、化学システム工学専攻・教授
    37. 所眞理雄|株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所ファウンダー
    38. ドミニク・チェン|株式会社ディヴィデュアル共同創業者、NPOコモンスフィア理事
    39. ナカムラケンタ|株式会社シゴトヒト代表取締役
    40. 中邑賢龍 |東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野教授
    41. 野口勲|野口のタネ・野口種苗研究所代表
    42. 乗竹亮治|日本医療政策機構 理事・事務局長/CEO
    43. 原丈人|DEFTA PARTNERSグループ会長、アライアンス・フォーラム財団代表理事、一般財団法人Next Wisdom Foundation 評議員評議会会長
    44. 飛鷹全法|高野山別格本山三宝院副住職
    45. ピョートル・グジバジ|プロノイア・グループ株式会社 代表取締役社長
    46. 藤代健介|「Cift」発起人
    47. 前野隆司|幸福学研究者、一般財団法人Next Wisdom Foundation 理事
    48. 牧大介|西粟倉・森の学校 代表取締役(校長)
    49. 松崎勉氏|ハーマンミラージャパン株式会社 代表取締役社長
    50. 松田道人|2018年多摩市長選にAIメイヤーとして出馬
    51. 松本紹圭|仏教者
    52. 松本徹三|多摩市AI市長 推薦人、元ソフトバンクモバイル副社長
    53. 港千尋|写真家・著述家、NPO法人Art Bridge Institute 代表理事、多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授
    54. 三宅陽一郎|日本デジタルゲーム学会理事
    55. 村瀬誠|天水研究所代表、薬学博士
    56. 矢野和男|日立製作所フェロー、理事
    57. 籔内洋介|尺八奏者、日本芸能史家
    58. 山形浩生|評論家、翻訳家
    59. 山田誠二|人工知能学会会長、国立情報学研究所教授、総合研究大学院大学教授、東京工業大学大学院特定教授
    60. 山本秀樹|ミネルバ大学日本事務所代表
    61. 山本隆三 | 国際環境経済研究所所長、常葉大学教授
    62. 吉原毅|城南信用金庫 顧問、城南総合研究所長
    63. 渡辺真也|インディペンデントキュレーター、映画監督
    64. 渡邉信|筑波大学 藻類バイオマス・エネルギーシステム開発研究センター長

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    • 『過剰性を生きるために』

      かつて、「新聞を最初から最後まで読むことで、世界のすべてがわかる」と信じられていた時代があったらしい。新聞というメディアは、世界で起きているあらゆるトピックを網羅的に概観し、それを隅から隅まで読めば、ひとまずは時代の流れがわかるのだと。むろんそんなことは現代では(あるいは当時も)幻想にすぎないとは誰もが知っていることであり、今では新聞を読むどころか手に取る機会すらほとんどないことだろう。周知のとおり、メディアの舞台はネットニュースやSNS、Youtubeなどの動画サイトに移行して久しい。そうしてマスメディアによって担保されていた「トゥルース」という幻想はもろくも崩れ去り、今では「ポスト・トゥルース」という新たな幻想が大きな物語の座を占めている。

      ところで、私たちは「トゥルース」を取り戻すことができるのだろうか? あるいは、私たちは「トゥルース」を取り戻すべきなのだろうか。結論を先に言えば、私はそうは思わない。社会はつねに動き続けるものであって同じ場所にとどまることはなく、また、不可逆な性質を持っている、というのが私の考えである。そのとき必要になるのは、過去を取り戻そうとする運動ではなく、未来を手繰り寄せることだと私は思う。そこで考えられる戦略は、知識を網羅することなどではなく、網羅を超えて、過剰に知的で過剰に情報を偏重させることである。ポスト・トゥルースはSNSと大衆の時代と言われるが、SNSと大衆だけでは足りていない。SNSと大衆の過剰性を指摘するのではなく、そこに不足を見ることこそが、おそらく未来に向けては重要なことなのだ。

      『NEXT WISDOM CONSTELLATIONS 2014-2018 叡智探求の軌跡』という長いタイトルを持つ本書は、その名のとおり、2014年から2018年の5年にかけて、一般財団法人Next Wisdom Foundationが、多種多様な専門知を持つ人々へ行ったインタビューをまとめたもので、登場人物は60人を超え、総ページ数は1000ページを超えている。章は10のテーマ別に分かれており、それぞれ順に、「地球の目でみる」「生命を考える」「命をつなぐ」「人のこころ」「人間があつまる」「社会を営む」「わたしと社会」「まちをつくる」「次世代に伝える」「想像とクリエイション」といった名が与えられている。いずれのテーマにも共通して言えるのは、これから「叡智」と呼べるものがなんなのかということは誰にもわからず、ここで取り上げられる「専門家」と呼ばれる人々も、彼らの所属する分野においてはある種の「外れ者」と見なされる場合が多く、要するに、一瞥すれば常識外れで的外れのように見えるアプローチも含めて、これからの叡智を見つけるためには、これからの時代に知的であるためには、試行錯誤を続けるほかはないということだ。

      知が不可能な時代に知を求めること。大きな物語なき時代に大きな物語を打ち立てようと試みること。未来なき世界で未来を創造すること。古い言葉、古い思考を捨てて、新しい言葉、新しい思考を試してみるということ――。本書の中で、複雑系研究者の池上高志氏は次のように語っている。
      「僕が複雑系の研究を始めた一九九〇年くらいのときは、データが少ないがゆえに想像力を豊かにして、小さいモデルから大きいモデルを考えた時代でした。しかし今はデータの世界のほうが大きくて、相対的にモデルで提示できる世界が小さくなりました。現実のすごさや複雑さ、情報量のほうが圧倒的で、理論の示す世界があまりにも貧弱に見えてしまうのです。それがインターネットとともに押し寄せてきて、「モデルや理論を見せるよりも現実を見たほうがいい」という世界が圧倒的になっています」

      私たちは断片的な存在として、インターネットを漂いながら、情報を生成したり、消費したり、加工したりして過ごす。140字に一喜一憂し、140字で誰かを傷つけ、そしてそれが世界の全てだと思っている。フィルターバブルの外に出れば、そこにあるのは異なるフィルターバブルでしかないのだと、私たちは思い込んでいる。断片は断片であり部分にすぎず、それが集積したところで全体にはなりえないのだと、私たちは思い込まされている。しかし本当はそうではない。私たちは140字に縛られるが、それが140字である必然性はどこにもない。「いいね」や「RT」の機能が存在する必然性はどこにもないし、スマートフォンが今のかたちでなければならない理由はどこにもない。それは市場の要請に過ぎず、市場がどれだけ私たちの似姿として優れていたとしても、それは市場であって私たち自身ではない。

      だから、私たちはスマートフォンを捨て、本を手に取るべきだ。それも可能な限り分厚い本、過剰な本を手に取るべきだ。私たちはいつでも変わることができるのだし、そしておそらく変わらなければならない。断片であることに苦しみながら、反面そこに居心地のよさを感じるのはやめにしなければならない。私たちは網羅性の時代には戻れないが、網羅性を超えていく過剰性を目指すことで、断片的な現実を破壊し尽くし、そしてまた、網羅性という名の過去の亡霊も破壊し尽くすこともできるだろう。そして私たちは生きるべきだ。いま、幻想としての全てでなく、幻想としての部分でもない、過剰性そのものとしての現実の中へと。
      SF作家、会社員、『すべて名もなき未来』著者 |樋口恭介さん
    • ・出る杭はみんなで作る
      ・みんなにお金とチャンスを分配すれば戦争も無くなる
      ・人間には爬虫類の脳が残っている
      ・自然エネルギーは全て太陽エネルギー
      ・「おいしさ」は味わう力で変わる

      いや〜、おもしろい! 1000ページを超える『NEXT WISDOM CONSTELLATIONS 2014-2018 叡智探求の軌跡』(Next Wisdon Publication刊)が届き、ページを送る手が止まりません。読み終えてはいませんので、おもしろかった、ではありません。途中です。

      編集したのは「未来に残す古今東西の叡智を集める」を掲げて2014年に船出をした一般財団法人NEXT WISDOME FOUNDATION(NWF 代表理事は株式会社LIFULLの井上高志代表取締役社長)。財団の活動として開催されたトークイベントや編集部スタッフによるインタビューをまとめて再編集されたものです。
      登場するのはいずれもその道のヘンタイ的な第一人者で、先端、というだけでなく、おもしろいんです。どの方の話も。

      アーティストで生命科学研究者の岩崎秀雄さん、東大大学院総合文化研究科教授の池上高志さんが登壇した「人工知能の未来」(2015年開催)では、生命とはそもそも何か、と根源的なテーマをカジュアルに議論し、2017年のドミニク・チェンさん(株式会社ディヴィデュアル共同創業者)、竹村真一さん(京都造形芸術大教授)が登壇した「オフグリッドの世界とその可能性〜ナショナリズムとの関係編〜国境を超える秩序を作ろう~」でも、ドミニク・チェンさんの生い立ちから紐解くナショナリティの話は好奇心を刺激されまくりのトークが炸裂していました。
      外せないのは質問の質。登壇者に向けて繰り出す質問は、挑戦したくなるクイズやパズルのようで、どれも回答が待ち遠しいものばかりで、いい質問は娯楽を提供すると実感をしました。

      この本はイベントやインタビューでのやりとりを活字化したものですが、読むと、かつて目の前で繰り広げられたトークが脳内で再現されるばかりでなく、新たな解くべき問いも提示されて、好奇心がぞわぞわと動き出します。
      鹿嶋パラダイス代表、唐澤秀さんへのインタビュー(2016年開催)をまとめた「うまい野菜を追求すると自然栽培になる」には、作物の流通に関連して「評価項目にないから、農家は味の良いものを作る必要性がない(中略)でも、味の良いものは作りにくくても結局は売れるんですよ」「環境の持続可能性を考えたときに、自然栽培以外では持続できないんじゃないかって思うんです」などのコトバが掲載されていて、ドローンで農業支援を展開してる会社の理念に重なり価値を再発見することもできました。

      この本を手に取って最も秀逸だと実感したのは、巻末の充実した索引。この手の本に索引があることそのものも読者へのサービス精神の表れですが、そのほかに「叡智らしきもの」という索引もあって、発言から抜き出された言葉が検索できるんです。冒頭のコトバたちはその一部で、たぶん300ほどあります。索引ですから、そのコトバが出てくる本文を参照することもできます。ことあたりが実に素敵なわけです。
      財団はこれまで定期的なトークイベントのほかに、「SOW」、「青空ケイザイ祭」などいくつもの舞台を手がけ、楽しみ方を提案してきました。掲げられるテーマもエネルギー、オフグリッド、生命、働き方、まち、クリエイションなど多彩で、ここで掲げられたからこそ関心を持った課題も多くあります。さらに、参加者が積極的に参加したり、創造力を発揮しやすくしたりするために、いきなり乾杯で始まるアルコールOKな環境であったり、参加者、登壇者が実にフラットであったりする運営も魅力です。自分のイベントでフラットに乾杯スタートにしているのは、ここでの経験を取り入れています。

      コロナで人の集まるイベントの開催が難しいようですが、それまではこの本で、体内、脳内に蓄えられるエネルギーを増やしておこうと思ってます。オンラインでのイベント開催も検討されておられるようなので、そちらも楽しみです。
      元産経新聞記者、現『DroneTribune』編集長|村山繁さん
    • ネクストウィズダムファウンデーションを設立した2014年当時に、集まってくださった理事のみなさんから「叡智とは何ですか?」と聞かれた時、私はまだはっきりとは答えられませんでした。しかし最近ようやく「叡智とはこういうものだ」という輪郭が見えてきました。叡智というのは断片ではなく、多面的で多層的に繋がりあっている全体性、それが叡智だと。そして、この地球の46億年の歴史、その地球上の生物の発生と進化、そこに叡智の塊があり、答えが全て詰まっている気がします。
      例えば、エネルギー問題を取り上げて「原発推進が是か否か」を、現代の視点で限られた地域や時間軸だけ見て議論し合っても仕方がありません。地球規模で考えて、私たちの子孫が生活する社会も想像しながら、自然環境と人類以外の多くの生命をサステイナブルに考えた時に、自ずと答えが導き出されるものです。もしこのような視点をみんなで持つことができたら、これからより良い社会を紡ぎ上げていけるのではないでしょうか。
      今までの社会は、ほんの一部の賢人の知識や経験、哲学に基づいて「未来はこうあるべきだ」という方向に進んできました。私も、リチャード・ブランソン *1 が「エルダーズ *2 」でやったように「賢人を集めて教えを請いたい」そう思っていましたが、今では「みんなが賢人になればいい」と思うようになりました。誰か一人のリーダーが全体を引っ張るのではなく、私たち一人ひとりが叡智を探求し、自分の中に取り込んで行動の指針にすることで、世界全体が進むべき方向に進む。それが良い社会なのではないかと。
      私の人生のビジョンの中には「世界平和」というものがあります。世界中が平和で繋がって全ての人が幸福でウェルビーイングである状態をつくりたい。そのための土壌がこの数年の取り組みで蓄積されてきました。叡智を探求して、多角的に学んで、自分の中に取り込むことで判断の軸ができ、進むべき方向を決められるようになる。その経験をより多くの人と共有したいです。この本を手に取って、じっくりいろんな角度から読み込んでいただいて、みんなが創りたい未来を一緒に創っていきましょう。
      井上高志|一般財団法人ネクストウィズダムファウンデーション代表理事/株式会社LIFULL 代表取締役社長
      *1:リチャード・ブランソン:1950年生まれのイギリスの実業家。音楽事業、航空事業、宇宙事業などいくつもの事業を手がける「ヴァージン・グループ」の創設者。
      *2:エルダーズ:国際紛争、人権問題、言論の自由、貧困からの脱出、環境問題など、世界の困難な問題に立ち向かうためにリチャード・ブランソンが呼びかけネルソン・マンデラ(南アフリカ共和国初の黒人大統領)をリーダーとして2007年に結成された世界の「長老」12人によるグループ。
    NEXTWISDOM CONSTELLATIONS2014-2018
    • 編者一般財団法人Next Wisdom Foundation
    • 定価3,000円(税別)
    • 発行日2020年11月中旬発行
    • ISBN9784991092503
    • ページ数1,023ページ
    • サイズA5版、上製本
    • 発行Next Wisdom Publication

    Next Wisdom Foundation

    地球を思い、自然を尊び、歴史に学ぼう。

    知的で、文化的で、持続的で、
    誰もが尊敬され、
    誰もが相手を慈しむ世界を生もう。

    全ての人にチャンスを生み、
    共に喜び、共に発展しよう。

    私たちは、そんな未来を創るために、
    様々な分野の叡智を編纂し
    これからの人々のために
    残していこうと思う。

    より良い未来を創造するために、
    世界中の叡智を編纂する
    NEXT WISDOM FOUNDATION